Webアプリケーション開発支援情報検索における検索語の選択と結果評価の脳活動データの解析

知の表現基盤部門

本研究の目的は,(1) 計算機を使用して人が情報検索を行う際の脳活動データをfMRIとMEGを用いて計測し,解析結果から脳活動データに基づいた情報行動のモデルを構築すること,そして (2)人による情報検索時の脳活動データを蓄積・整理・提供すること,である.これまで,8人の被験者を対象に,脳活動データ実験を実施した.これらは予備実験として位置付けられ,研究開始時に計画していた被験者実験の手順を確認し,問題点を明らかにし,改善した.まず,被験者が fMRI装置内で画面に表示される文章を読んでいる状態や,注視点を見ている状態の把握と,データ解析で判断情報として使うことを目的とし,被験者の目の状態や動きをビデオ撮影するための治具を制作した.この治具は,fMRI 内に設置するために非磁性体の材料が使われている.予備実験で撮影した動画で,目の状態が取得できていることを確認した.次に,被験者実験の手順であるが,以下の点を検討した.検索実験と対照実験の実施順序について,複数のパターンを試行し,実験時間の制限を含めた制約内で最良の順序を決定した.また,検索結果を表示する際に,見やすさや内容の把握のしやすさを考慮し,これについても複数の表示パターンを試行し,最終的な表示内容およびレイアウトを決定した.さらに,残存時間の表示も組み込んだことで,被験者が必要とする情報を提示することができる.被験者実験で用いる検索システムについては,本研究の実験条件に最適化したシステムを構築した.文章データコレクションの選択,文章データの整形およびインデクスの生成,検索インタフェースの構築,検索結果の生成プログラムを作成した.この検索システムが出力する検索結果を表示するため,fMRI 装置と連動して動作する刺激提示プログラムを開発した.このプログラムは,予備実験で確定した実験の実施手順を実行する.さらには,刺激提示プログラムの実行と,検索システムの実行の両者の同期についても複数のパターンを試行し,最適な手法を決定した.これらのプロトコルを基に今後脳活動データの蓄積と解析を進め,どの時点で検索結果の閲覧・評価から新しい検索語の作成等の別の行動へと認知的遷移(検索語の生成,検索結果の選択など)が行なわれるのかを明らかにしていく.