部門紹介

知的コミュニティ基盤研究センターは「知の表現基盤」「知の共有基盤」「知の伝達基盤」「知の環境基盤」の4つの研究部門から構成されているが、それぞれが複数のプロジェクトを立ち上げ、知的コミュニティを支える情報基盤に関して多角的な観点から研究を遂行している。

知の共有基盤研究部門

本研究部門では,ネットワーク上で,知識と情報を探し,アクセスし,利用し,生産し,蓄積するために必要な共通の技術を提供する基盤環境を作り上げることを目的として研究活動を行っている.現時点における本部門の基本的な役割は,ネットワーク上での情報の蓄積と流通のための基盤環境のための情報技術を研究開発することである.ここでいう基盤環境は必ずしも計算機技術のみによって作り上げられるものではなく,人間を要素として含む総合的な環境と考えている.別の言い方をすると,特定の環境を作り上げるのではなく,ネットワーク上で知識と情報を共有するためのミドルウェアを提供する環境を作り上げるものである.本部門では,ディジタルライブラリやデータ工学を基盤として,メタデータスキーマに関する研究やWebコンテンツを管理する際に必要となる各種の技術や手法の開発を行っている.また、国内外の研究者との連携も積極的に進めている。

知の表現基盤研究部門

知的コミュニティにおける知識伝達を考えるとき,その知識をどのように表現するかは重要な課題である.例えば,多元的な内容を含む知識はその理解が困難であるが,三次元CADに見られるように,その表現法を工夫することにより的確な知識伝達が可能になる.本研究部門ではそのような問題意識の下にコンテンツ表現技術の開発とコンテンツ作成環境の開発を中心に,研究の展開をはかっている.具体的には,(1)コンテンツ表現技術の基礎としての立体構造物の類似性の検討とそこで用いられる最大完全部分グラフ抽出アルゴリズムの評価,(2)コンテンツ表現技術の応用的検討としての古銅印と糸印の識別研究,(3)コンテンツ作成環境の基礎として生物学領域を対象にした専門用語の用語概念の検討,(4)メディカルインフォームドコンセントを対象とした知識レベルの異なる人の間のコミュニケーションに関わる知識表現の検討,(5)コンテンツ表現の基礎研究として表現する対象をネットワークとして捉えた場合の構造特性の解析やシミュレーションなどを行っている.

知の伝達基盤研究部門

本研究部門では,コミュニティにおいてつくりだされる知識(情報)の伝達に関して,人々の情報行動の探究などの知の主体に照準を合わせた研究と,知識(情報)伝達のための情報組織化技術や社会システムとしての伝達基盤(図書館・博物館・文書館・情報センター等)に関する,いわば知の集積に照準を合わせた研究とを行っている.無論,この二つは不可分の関係にあり,両者にまたがるテーマの研究も少なくない.また,どちらに照準を合わせていても,現実に営まれる人々の行為・行動に即して,人間同士のコミュニケーションやコラボレーションを解明・促進するという視点を常に意識している.具体的には,学術情報の利用者に対する行動・意識調査,地域コミュニティを支える情報伝達基盤のあり方,情報伝達の社会システムのあり方を考える研究,情報デリバリー基盤のシステム構築に関する研究,社会的情報基盤の経営指標に関わる研究などである.

知の環境基盤研究部門

本研究部門は,ネットワーク情報社会の環境基盤(ハードウェア)の発展を支える「半導体デバイス」の研究を行っている.具体的には(1)ユビキタス・ネットワーク技術に関するデバイス,(2)情報の大容量・高密度記録を可能にするデバイス,(3)全く新しい情報処理を実現するデバイス,という3つの領域に属するデバイスを扱っている.これらの半導体デバイスの性能や信頼性は,半導体結晶あるいは異種結晶間の接触面の品質によって決まるため,当部門では結晶や界面の強力な評価方法として定評のある電子スピン共鳴(EPR)分光法を用いて,様々な研究機関や産業界から寄せられる技術的課題を解決するための研究活動を展開している.加えて,インターネット技術を使って,半導体研究者のコミュニティが共同で専門知識を集積/利用するシステムを開発し,それを運用する学術コミュニティ活動も進めている.